さよならの挨拶を(キャンパス・ライフpt.2 なんでフラ語やるの?)
「はたち」という響きは、僕にとって何かしら特別なものだった。いつまでも続くと思っていた10代に別れを告げ、20歳を迎えた1996年というときを、忘れずにいるためにこのものがたりを書こうと思う。
(平成9年10月)
「はたち」という響きは、僕にとって何かしら特別なものだった。いつまでも続くと思っていた10代に別れを告げ、20歳を迎えた1996年というときを、忘れずにいるためにこのものがたりを書こうと思う。
(平成9年10月)
第6話:まばたき 「いつだって、勝ってから肘掛け椅子に座って言うのは簡単なことさ。『いや、危険じゃなかった』なんて言うことはね。」アラン・プロスト(フランス人) 平成8年4月(1996年)、僕はいつの間にか2年生になって…
第7話:セミ・スイート 「聞かないでくれよ。僕にだって訳が分からないんだから。」ジョン・ワトソン(アイルランド人) 授業が始まった。楽しい授業あり、つまらない授業あり。毎度のことだ。 毎度のことといえば、あのお喋りも然り…
第8話:それはちょっと 「強がり言ってるけど、本当は怖いんだよ。だから一生懸命練習するんだ。怖くなかったらそんなことしないよ。」星野一義(会社役員) ある日、フランス語の授業で、新聞記事を読んでそれに対する自分の意見を言…
第9話:夏のはじまり 「その質問に対しては答えられないし、今は答えたくない。」チェザレ・フィオリオ(イタリア人) 木曜日になると、僕はアルバイトに行く。 バイト先の会社に行くと、最初にして最大の難関が待ち構えている。それ…
第11話:遠くで見ていて 「あまりくよくよ考えたくない問題だけど、そこに学ばなければならない教訓があるのだとすれば、僕たちはそれが何であるのかを見極める必要がある。」デイモン・ヒル(ギタリスト) 10月になって、後期日程…
エピローグ:ぜんぶ言ってしまおう 「言い古された言い方をすると、作者に全てがわかる訳じゃない。でもお喋りな作者というのは常にいて、哀れにも自分の作品には及びもつかないみすぼらしいメモ帳の切れはしを読み上げてしまったりする…