祝日について考える1997.2.13.

昨年の夏、フランスを旅行した。
ドイツ国境の街、ストラスブールに着いてふと気づいた。平日なのに、デパートはおろか郵便局に至るまで、ことごとくお店が閉まっていたのである。
街の人に聞いてみると、この日は「聖マリア昇天祭」という祝日なのだそうだ。8月15日だから、終戦記念日かと思っていたらそうではないらしい。

翻ってわが国。去る2月11日は「建国記念の日」という祝日であった。しかし、何を根拠に「建国」なのだろうか。これを説明できる人はいるだろうか。
筆者が知る範囲で簡単に言うと、初代天皇の神武帝が、紀元前660年に橿原で即位したのがこの日だったということだ。

むろん、これは伝説だ。事実でないと言う人もいる。戦後の政教分離政策によって、この手の伝説はすべて教科書から削除された。だから、知らない人が多いのは当然だ。

しかし、である。筆者は外国語学部の学生だが、仮に外国語が堪能になったとしても、自国のことを知らず、自国のことを伝えられない人間でよいのだろうか。2月11日が祝日である理由を、我々は外国人にきちんと説明できるのだろうか。

教科書に虐殺だの慰安婦だのを載せるか否かの論議も結構だが、我々にはほかにもっと教え、或いは学ぶべきことがあるような気がする。