エピローグ:ぜんぶ言ってしまおう
「言い古された言い方をすると、作者に全てがわかる訳じゃない。でもお喋りな作者というのは常にいて、哀れにも自分の作品には及びもつかないみすぼらしいメモ帳の切れはしを読み上げてしまったりする。」
小沢健二(シンガー)
あるべきものがなくなれば、そこには空白が出来る。空白を埋めるものとは何か。探してはみても、そんなものはないってことが分かるだけだった。淋しいとか悲しいとか、そんなありふれた感情よりも、もっと遠くに、ずっと遠くに自分がいるような気がした。時計の針は止まったままだ。
ぜんぶ言ってしまおうと銘打ってはみたけれど、実際には、全てを言える筈がなかった。なくしたものを追いすぎれば、余計に苦しんでしまうことは承知していたし、ホームページという、言ってみれば公共の場所に大書すべきではないと判断した部分もある。
完結してみると、当初の志がかなり下がってしまった感もあるが、とりあえず、「キャンパス・ライフ」はこれでおしまいということにしたい。今後、似たようなシリーズをまた書き始めるかもしれないが、今までとはかなり趣を変えたものになるだろうし、このストーリーとは連続性を持たないものになるだろう。
最後に断っておきたいのは、これは決して、誰かを批判しようとか、こき下ろそうとか、そういう気持ちで書いたものではないということだ。12年間男子校で暮らしてきた僕が、急に「女子校」に入った戸惑いと偏見に毒されつつも、人と出会うよろこびに駆られて飛び出した独り言だと思って欲しい。